外構、ガーデン(あるいは住宅も)工事の場合、積算書では見えない部分があまりにも多いと述べました。もう少し具体的に、そのわけを説明しましょう。前項で説明した通り、積算書の問題点は、大きく分けて2つあります。1つ目は、建築系の積算全てに共通する不可解さ。2つ目は外構・ガーデンに限定された不可解さです。
1つ 目に関しては、積算そのものの限界と言ってもよいでしょう。例えば、積算書では明記されない事項が多数あります。工程の組み方などです。しかし、それによ り経費は大きく変わります。従って、たとえ単価は安くても、無駄な工程の元に積算されていれば、トータルでは割高となります。また、同じ材料、同じ工事を 行っても、職人の技術等で仕上がりに大きな差が出ます。つまり、品質の事前チェックは積算書ではできないということ(逆に、フェイス・トゥ・フェイスの関 係が出来れば、その事前チェックがある程度可能)。
2つ目は、1つ目の項目にプラスされる、外構、ガーデンの特殊事情です。ここで戸惑う方が多いのです。外構・ガーデンの世界では、見積書を作る項目基準が共通していないとゆう最大の難点です。
積算項目である程度統一されているのは、工種と呼ばれる大項目程度。以下の小項目の作り方はバラバラです。当然、これでは比較対象する意味が殆どありません。
例えば、駐車場の土間コンクリート。
㎡あたりの単価がA店は3600円、B店は6500円。
これはA店の方が安いのではないか!!と錯覚しやすいのですが、よく見積書を見てみるとA店の㎡単価にはコンクリートのみの費用で下地の砕石やワイヤーメッシュと呼ばれる土間コンクリートの中に入れる細い鉄筋のようなものは別項目で積算されているということもあります。場合によってはコンクリートを㎥(立方メートル)に換算し、あとは職人さんの費用と分けて掲載している場合すらあります。
またお店によってはワイヤーメッシュの太さ、下地の砕石の厚み、土間コンクリートの設計強度の基準が異なる場合さえあります。
これが外構ガーデンにおいて「外構・ガーデンの世界では、見積書を作る項目基準が共通していない」所以なのです。
そして合計金額を比較しても、そもそも全てがオーダーメイドであるため、プラン内容により価格は左右し、合計金額とお客様の満足度は決して比例も反比例もしないということなのです。
例えば一般的に高いといわれているハウスメーカー経由の外構工事と安いといわれているネット系集客を主体とした外構工事。
しかし結果的に落ち着いてみると費用はともかくハウスメーカー系の外構工事の方がプラン内容の機能性が高く、のちに他のお店でリフォームを依頼することになり結果的に高くついてしまったなんて事例も多くあります。
また逆にハウスメーカーから提示される高性能の3DCADで見たプランが一見よくても実はとても機能性にかけていたということもあります。
上記はほんの一例にすぎません。その他の状況を加えると、見積書では、本当に安いのか高いのかも含め、何もわからないというのが実情です。だからこそ、後生大事に見積書を多く集めても、ほとんど意味がありません。失礼な言い方ではありますが、時間と労力の無駄です。ただ、その見積書も人のつながりをベースとしたものであれば、命が吹き込まれます。勿論、プラン、図面に関しても同じことが言えます。
だからこそ、いきなり顔が見えないところへ発注するのではなく前項までで記載した1~5のポイントが大切になってくるのです。