エクステリアの基礎知識

ご家庭の外構・ガーデンを「バリアフリー」タイプにする必要が有るとき、最初に考えることが、階段ではなくスロープにすることです。ただ、実際には歩行も考え、階段とスロープの両方を設置するほうが多いでしょう。
いずれにしても、単にスロープと言っても、車椅子での通行が可能なスタイルにすること、歩行が不自由な人でも歩けるようにすること、が目的であり、その基準を知らなければなりません。専門的になりますが、今回はその数値の中から、「傾斜角度」に関するものを提示しておきます。

スロープの「傾斜角度」の基準
①屋外・・・5%以下(1mで5㎝以下のアップ)
②屋内・・・8%以下(1mで8㎝以下のアップ)
ただし、段差が50㎝以下の場合は、多少角度が急になっても良いという緩和基準があります。この基準に従うと、屋外の場合い以下のようになります。
*段差が20cm(階段1段強)の場合い・・・8%以下(1mで8㎝のアップ)
*段差が35㎝(階段2段程度)の場合い・・・6%以下(1mで6㎝のアップ)
*段差が50㎝(階段3段程度)の場合い・・・5.5%以下(1mで5.5㎝のアップ)

以上です。
煩雑かもしれませんが、「バリアフリー」化は我流では危険です。専門店と一緒にチェックしながら、安心第一のプランに・・・。
傾斜角度に続き、その他のスロープに関する基準、注意事項について述べます。

傾斜の次に気になるのが、どれぐらいの広さ(幅)にすれば良いかということでしょう。屋外の場合は130㎝以上と言うのが理想です。しかしこれだけの広さを確保することが困難な場合のほうが多いでしょう。そこで、ご家庭では「100㎝以上」と覚えておいてください。さらに、両サイドには車椅子の脱輪を防ぐため「縁石」を設置することも忘れないで下さい。実際に現場をチェックすると、縁石の無いものが多数あります。この点、特にご注意を・・・。

なお、傾斜角度についての補足ですが、数%の角度では、スロープが長くなりすぎ、設置が困難な場合があります。この場合は、ご家庭の場合は病院や療養所ではないので、傾斜角度8%を基準にし、途中で水平部(踊り場)を設けることで対応を考えてください。

ただし、スロープではそれ以上に重要なポイントがあります。それが「スリップ防止策」です。
屋外用の舗装材には、アスファルト、コンクリート(土間コン)のようなベーシックなものから、石材、レンガ・タイル等の焼き物や、コンクリート系の舗装材(舗石類)、木材を利用したもの、土・樹脂舗装・・・など膨大な種類が有ります。しかし、水に濡れた場合、その殆どが滑りやすく危険と考えてください。
残念ながらここで、膨大な種類から使えるものを列記することは不可能です。したがって、下記の原則に即して、スロープ表面の舗装処理を行ってください。

①土間コンクリートの場合は、「刷毛引き仕上げ」にして、なるべく滑りにくくする。
②木材、石材など天然素材は大部分が滑りやすく、ノンスリップ素材として使えることが、事前確認できない限り使用しない。
③レンガ、タイル、コンクリート系の舗装材(舗石類)は、ノンスリップ仕様商品に限定し使用。
④滑り具合が不明なものは、事前にメーカー等に確認し、安全を確認できたもののみを使う。

以上です。

2022/09/26
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