「デッキ」について言及しました。続いて「デッキ」とよく似た使い方をすることが多い「テラス」について考えて見たいと思います。「テラス」とは本来「バルコニー」とほぼ同義語で、建物から張り出した位置に手を加えて作る空間のことです。タイル・石貼りなどが一般的で、「デッキ」も「テラス」の一形態といえるかもしれません。
ただ、日本ではアルミ製の軒的な簡易屋根のことを「テラス」と言います。また、「バルコニー」もアルミ製の物干し台のような商品のことを指します。これは、エクステリアの大手メーカーが話し合いで決めた用語。最近アルミ製の「バルコニー」の設置率が低くなり、あまり一般用語との間に混乱を招くことはなくなりました。しかしアルミ製の「テラス」は非常に身近な商品となっています。そこで、このコーナーに関しては、一般的な張り出しスペースを「テラス」、アルミ製品を「テラス屋根」と表記します。
日本の住宅の場合は「テラス」と言えば、掃き出し窓の前に作るのが一般的です。その意味ではほぼ「デッキ」と同じ。ただ、材質的には、土間コンクリートの化粧仕上げ(コテ押さえ、モルタル塗り、等)、土間コンクリート+タイル貼り、土間コンクリート+石貼り、などが大半を占めます。同スペースを通路・物干し場など、実用本位に使う場合は土間コンだけでもOK。ただ、多目的に使う場合は、美観の問題から、タイル・石貼り仕上げを施すのが一般的です。
要するに、日本の住宅の場合は、「デッキ」「テラス」共にほぼ同じような使い方をすると言うこと。では、どのような視点で両者の選択を行えばよいのでしょうか? そこで、「デッキ」と「テラス」の長所・短所を挙げ比較対照してみましょう。
「デッキ」の特性:木の暖かさがある、表面の温度差が少ない(夏あまり熱くならず、冬あまり冷たくならない。ただし「木樹脂」は例外)、掃除がややしにくい、経年変化がある、木の風合いが強いものは塗装などのメンテナンスも、材質によっては耐久性に問題・・・など。
「テラス」の特性:無機質な感覚、表面温度差が大きい、掃除が非常にしやすい、経年変化が少ない、ほぼノーメンテナンス、耐久性にすぐれている・・・など。
従って、シャープで無機質な感覚を好む方、バーベキューやガーデニングで非常に汚れやすい使い方をする場合、等は「テラス」がお勧めと言うことになります。なお、砂岩・凝灰岩貼り(大谷石、等)、自然調レンガ、等を使えば温かみが出るといった意見もあるかもしれませんが、 「テラス」向きとは言えずお勧めできません。
タイル張テラス。無機質な感覚、表面温度差が大きい、掃除が非常にしやすい、経年変化が少ない、ほぼノーメンテナンス、耐久性にすぐれている・・・などの特性を持ちます。