キンモクセイの話を行いました。これを機に、少し視野を広げモクセイ科の植物を取り上げます。同科は25属600種に及ぶ大家族で、暮らしと身近な樹木も多数含まれているからです。ただ、このシリーズは植物学を目指すものでは有りません。従って、アッこんな樹木もキンモクセイの親戚(広い意味での)なんだ、と感心させられるような樹木のピックアップを主目的としておきます。
まず、モクセイ科の共通点から。木体だがツル性のものもある、花弁が合着し4列(一部例外も)、芳香を放つものが多い、温暖地を好むものが多い・・・などがその主なもの。最も、下記にピックアップする樹木を見ると、素人目にはどこが親戚なのか、理解するのははなはだ難しいのですが。
まず、庭木としても身近なモクセイ科の樹木。ヒイラギ、ヒイラギキンモクセイ。この2種は特にキンモクセイに近い樹木です。単に、モクセイ科であるばかりではなく、同じモクセイ属であるからです。従って、近い親戚で、葉にとげが無いタイプ、少しとげがあるタイプ、強いとげがあるタイプ、と言った程度の相異と考えて良いのかもしれません。最初にヒイラギキンモクセイを見たとき、よくもまあキンモクセイとヒイラギの交配種のような樹木があるものと感心しましたが、それほど不思議な話でも無いようです。ただし、お馴染みのヒイラギナンテンは親戚ではありません。こちらは、メギ科、ヒイラギナンテン属の植物で、どちらかと言えばナンテンに近くなります。
この他、少し遠い親戚にはなりますが、モクセイ科で極めて身近な植栽用樹木として、トネリコの仲間(モクセイ科、トネリコ属)3種を上げることができます。トネリコ、シマトネリコ、アオダモ、です。また、春先に黄色い花を美しく咲かせるレンギョウ(モクセイ科、レンギョウ属)もモクセイ科です。
芳香を放つモクセイ科の樹木としては、キンモクセイの他には、ジャスミン、ライラックが特に有名。ただし、キンモクセイはモクセイ属、ジャスミンはソケイ属、ライラックはハシドイ属(オリーブに近い)、と言った具合に、近い親戚でもなさそうです。従って、モクセイ科のどの属だけが芳香を放つと言った、特殊なグループが有るわけでも無いようです。
最後が、実を収穫するモクセイ科の樹木で、その代表がオリーブ。そう、オリーブもモクセイ科に属していたのです。そういえば、花が小さく群開する様は少しキンモクセイに似ているかもしれません。このように、植栽用、芳香の有効活用、食用など、調べてみると、キンモクセイの仲間は、人の暮らしに様々な恩恵を与えてくれていることが分かります。
春先に黄色い花を咲かせる低木レンギョウもモクセイ科。
春、房状に咲かせる花には芳香がある北国の代表的な花木ライラック。こちらもモクセイ科。落葉性小高木。