ここからはハナミズキ、ヤマボウシ、常緑ヤマボウシ、の3種を取り上げます。結論から言うと、3種は近い親戚で、ハナミズキはアメリカを、ヤマボウシは日本を含む東アジアを、そして常緑ヤマボウシは熱帯・亜熱帯アジアを代表するミズキの仲間です。まずは、ハナミズキから・・・
ハナミズキ(アメリカハナミズキ、アメリカヤマボウシ、英名:ドッグウッド、など)の分類は、ミズキ目、ミズキ科、ヤマボウシ亜属、ハナミズキ(種)となります。つまり、ミズキの仲間であり、ヤマボウシに極めて近い種類と言うことです。そして、学名は「Cornus(ミズキ科) Benthamidia(ヤマボウシ亜属) florida」となります。ここで注目すべきは「florida」と言う種名です。そう、ハナミズキの原産は東部アメリカ~北部メキシコで、フロリダとその周辺を代表する樹木(花)であると言うことです。
ハナミズキには素晴らしいエピソードがあります。1912年に日本はアメリカとの友好を願いソメイヨシノを送りました。そして、ワシントンのポトマック湖畔は今もサクラの名所として多くの人達に愛されています。実は、その返礼として1915年に送られて来たのがハナミズキです。勿論、日本人もこのハナミズキを大切にして、今では全国であでやかな花を咲かせ、超人気のシンボルツリーにもなりました。当然の事ながら、ハナミズキが返礼用に使われたのは、アメリカ自慢の樹木でもあったからです。
ハナミズキの特色としては、落葉小高木、春にあでやかな花(実は総苞と言う葉)を着ける(白、ピンク、最近は中間色も)、秋には赤い実がなる、など。ただし、ヤマボウシ亜属の樹木だけに、ヤマボウシとよく似ています。花はよりあでやかであるため、花期の場合は容易区別がつきますが、それ以外の季節ではかなり見分けが困難です。ただ、成長すると樹皮により細かな割れ目が入る、実が丸く表面がツルリとしている、と言った相異があります。身近なハナミズキ・ヤマボウシを見つけ分類してみてください。
ハナミズキは街路樹、公園木、庭木としてモテモテの樹木ですが、意外に病害虫に弱いと言う欠陥もあります。そこで、ヤマボウシとの交配種も出回り始めていますが、由緒正しい樹木だけに、種の混乱という弊害もあり何となく複雑な気持ちにさせられます。また、前述のようにドッグウッドと言う変わった英名が付いていますが、これは昔ワンちゃんの皮膚病を直すために使ったためとか・・・
学名B.florida=ハナミズキ。アメリカを代表する花として日米をつないだ!