エクステリアの基礎知識

この項からは、日本を代表する固有の樹木を紹介します。先ず取り上げるのはスギです。何だ、と思われる方も多いかもしれませんが、スギには多くの秘密が隠されています。しかも、地球規模の秘密です。さらに、花粉症・森林問題の代表的存在、最も多く使われている国産材、和風造園の立役者の1つ・・・など、私たちの生活と切っても切れない存在でもあります。スギ(杉)は、マツ目、ヒノキ科、スギ亜科、スギ属、の常緑の針葉高木で、全国に分布するが、秋田県がほぼ北限。ただし、日本の固有種で世界的には貴重な分布形態を示す樹木です。誰もが知っている樹木なので、形状に関する説明は割愛します。

ここで最大の問題となるのは、ヒノキ科、スギ亜科、スギ属という分類。従来はマツ目、スギ科、**属、とするのが一般的で、このように表記されることも珍しくありません。しかし、よりヒノキグループに近いとの判断が近年の主流となり、ヒノキ科、スギ亜科、とするケースが増えているようです。スギの仲間の樹木としては、北米のレッドウッド・ラクショウ、中国のメタセコイア・コウヨウザン、それにオーストラリアのタスマニア島などに、10属14~16種が現存すると言われています。むしろ少数派の樹木で、針葉樹としては比較的暖地に、しかも世界の特定エリアに点在すると言う、不思議な分布形態を示しています。

ここに大きな意味と謎があるのではないでしょうか。なぜそのような発想を持つかと言うと、エクステリアで用いる木材の1つとしてレッドウッドは非常に興味深い木材だからです。レッドウッドとは現存するセコイア直系唯一の樹木で、カリフォルニアのレッドウッド公園と一部その周辺のみに生息する巨木(世界一背の高い樹木)です。前期したようにスギ科(あるいはスギ亜科)の樹木で、正式な分類は、スギ科、セコイア属、レッドウッド(11種)となります。でも、ここに大きなマジックがあります。

セコイアは2億年以上前、地上を覆いつくす植物の王者でした(石炭の大半がセコイア)。つまり、スギの仲間よりはるかに古くから地球上に生息していたと言うこと。となれば、時間の流れを考慮して分類しなおすと、セコイア科、スギ亜科、***属とすべきでしょう。そして、セコイア直系のレッドウッドが唯一カリフォルニアで生き残りました。さらに、何とか環境に適合し、傍系の樹木として、北米の一部、中国の一部、オセアニアの一部、そして日本列島で生き残った。それが、ラクショウであり、メタセコイアであり、コウヨウザンであり、そして我がスギとも考えられるからです。そう、奇跡の一端が日本列島で起こったと考えると飛躍しすぎでしょうか。。。

カルフォルニアに広がるレッドウッドの森。

2022/09/30
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