シンボルツリーは落葉樹より常緑樹の方が良い・・・と言われる方が少なくありません。落葉樹は冬の樹形が寂しい、落ち葉の処理が大変、といった理由からです。そこで、人気のヤマボウシが常緑であれば、人気が出るのではないかとの計算もあり、最近登場したのが「常緑ヤマボウシ」です。
「常緑ヤマボウシ」は一般のヤマボウシと同じ、ミズキ科、ミズキ属の植物であることは間違いありません。しかし、その先が良く分かりません。植木・園芸業者の資料はありますが、学術的な記載が殆どないからです。従って、以下は業者からの情報であることを前提に、「常緑ヤマボウシ」について説明します。
「常緑ヤマボウシ」は、2系統に大別されるといわれています。ホンコンエンシスの系統と、ヒマラヤヤマボウシの系統です。両者は花の大きさ・数、葉の形が少し異なるようです。ただ、流通している植物は雑交している可能性も有り、あまり分類にこだわること自体、意味が無いと思われます。
「常緑ヤマボウシ」と一般のヤマボウシの関係は、恐らくシマトネリコ(亜熱帯産・半常緑)とトネリコ(温帯産・落葉)のようなもの。亜熱帯に自生する複数のヤマボウシ系樹木を、複数の業者が導入し、現状に至っているのでしょう。従って、「常緑ヤマボウシ」とはあくまでも、葉をあまり落とさないヤマボウシの仲間の総称と考えるべきです。
このような背景を元に、シンボルツリーに「常緑ヤマボウシ」が適切か否か、ご判断下さい。
2022/09/28
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, 樹木のお話