日陰向きの低木を紹介中です。カクレミノに続き、この項ではヤツデとアオキを紹介します。
ヤツデ(八つ手)とは、ウコギ科、ヤツデ属、ヤツデ(種)と言う分類の常緑低木です。学名は「Fatsia(ヤツデ属) japonica」。この名前を見ても日本原産の樹木であることが分かります。自生地は関東以西(南)の森林周辺。海岸近く〜日当たりの非常に悪い森にまで生息しており、日向・日陰を問わず育ちます。この特性により、日陰に対応できる低木として取り上げました。
ヤツデは極めて個性的な樹木でもあります。20㎝以上の極めて切れ込みが深い(手のひらのような)葉を持つからです。その他の特性としては、枝を長く伸ばす、葉に光沢がある、晩秋に白い小さな花を群開させる、特有の果実を翌春に着ける・・・など。ヤツデと言う名前は勿論葉の形状によるもの。ただし、その指の数は8と言った偶数ではなく、7、9と言った奇数です。つまり、ヤツデと言う名前は誤り?と言うことになります(最も「7または9つ手」などと言う名前などあり得ないが・・・)。
なお、ヤツデは古い日本住宅の片隅によく植えられ、茂り放題の物も珍しくありません。従って、あまり良くないイメージがありますが、個性的でシャープなグリーン演出にもピッタリです。つまり、うまく使えばモダン系住宅によく合う低木となります。ぜひ一工夫して有効に使ってください。
アオキ(青木)も日本原産の樹木で、北海道南部〜沖縄まで自生しています。つまり、それだけ育てやすい樹木であるということ。分類的には、ミズキ科、アオキ属、アオキ(種)と言う常緑低木となります。学名は「Aucuba(アオキ属) japonica」。英語名は「japanese Aucuba」。まさに日本産が強調された呼称と言えます。
樹木の特色としては、樹高は2m程度、雌雄異株、小花で3〜5月に咲き紫色、葉は楕円形の鋸葉、光沢があり緑が美しい、茎も緑色、秋に赤い実を着け翌春まで楽しめる・・・など。また、最近は斑入り等の園芸種も広く出回っています。勿論、日陰でも栽培可能で、観葉植物的な扱いでガーデンの演出に使うのに極めて便利な樹木です。
なお、ヤツデ、アオキ共に薬効成分があり、漢方薬(ヤツデ=八角金盤、アオキ=陀羅尼助に配合)の原料としても活用されています。個性の強い植物には成分にも特有のものが含まれているということでしょうか?
昔から日陰の庭の代表的な樹木、ヤツデ。葉の形が個性的です。
斑入種も多くあるアオキ。育てやすい低木の1つです。
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