続いてはミズキの仲間以外の・・・とは行きません。どうしても紹介すべき、魅力的で日本人が大切にしてきた樹木があるからです。その名はサンシュユ。年配の方なら、ああ・あの、と思い出していただけるかもしれません。でも、若い方は始めて耳にする名前かも・・・
サンシュユの説明に入る前に、少しミズキ科の樹木について確認しておきます。分類的には、ミズキ目、ミズキ科、となり、14属100種程度あるといわれています。そして、身近な属としては、前出のヤマボウシ亜属(ヤマボウシ属とする資料も)、アオキ属、ミズキ属、そして今回紹介するサンシュ属などがあります。そしてこのグループを代表するのが、ミズキ属のミズキで日本中の山野に広く自生しています。ただ、庭木としてはあまり使われません。また、ミズキといえばトサミズキを思い出す人も多いかもしれません。しかし、トサミズキはマンサク科の樹木でミズキの仲間ではありません。
話を、サンシュユに戻します。上記の説明でも分かるとおりサンシュユは、ミズキ科、サンシュユ属(ミズキ属とする資料も)、サンシュユ(種)と言う分類の落葉小高木です。原産地は中国~朝鮮半島で、江戸時代に薬用植物として輸入され栽培されるようになりました。しかし、春先に美しい花を群開させる、樹形が良い、あまり大きくならず管理しやすい・・・などの特色があり、庭木としても多用されるようになりました。最近はシンボルツリーとして植えられる頻度は少なくなっており残念です。
サンシュユの特色としては、樹高は最大でも15m程度、葉は互生し楕円形で4~10cm程度、春先の葉が出る前に鮮黄色の小花を群開し美しい、秋にはアオキやグミに似た赤い実(食べられないため偽実とも)を着け観賞価値がある・・・と言った点を上げることができます。つまり、春の花、夏の緑、秋の実と黄葉、冬姿、と四季楽しめる樹木であるということ。特に、早春の花姿には出色したものがあります。
サンシュユの赤い実は、強精、止血、解熱効果があるとされ、漢方薬の材料にもなっています。また、春の花姿からハルコガネバナ、秋の実姿からアキサンゴなどとも呼ばれ、庭先の美しい樹木として親しまれてきました。もし、公園や住宅の庭先で、春に鮮やかな黄色に染まった木があればそれがサンシュユである可能性大。シンボルツリーとして玄関先に植えてみても、間違いなく注目を集めることでしょう。
春には鮮黄色に染まり、秋には真っ赤な実を着ける個性派・・・それがサンシュユ