引き続き「カースペース」の段差について検証します。まず中程度(80~150㎝程度)の段差のある「カースペース」について。実は、全体的な「フロントガーデンプラン」を作成する場合、この程度の段差がある物件に対し、最も神経を使います。一次造成(住宅地そのものの基本造成)で擁壁処理などが行われず、外構の設計施工で処理するケースが多いからです。ただ、プラン作成者の腕の見せどころでもあります。
中程度の段差の「カースペース」で新築系の場合、「深基礎」との関係が特に重要になります。従って、他物件以上に早くエクステリア専門ショップを訪れることが大切になります。既存物件では、逆に「深基礎」であるか否か、その他の敷地条件を綿密にチェックし、カースペースの配置、段差処理、形状を決めます。
最大のポイントは、住宅配置、基礎の状況を加味しながら、どの場所にどの程度の「カースペース」を設けるかの「ゾーニング」です。この時、最良の「ゾーニング」条件に、残土処理が加わることも忘れてはなりません。既に説明したとおり「カースペース」の場合は、宅地GL(家が建っている設計上の高さゼロライン)から、ほぼ道路GL(道路の基準となる高さゼロライン)まで掘り下げなければならないからです。掘り下げること自体はそれほど問題ではないのですが、そこから出た残土の処理に多額に費用がかかるからです。
従って、複数の「ゾーニング」が可能である場合は、なるべく段差の少ない配置を選ぶ必要があります。お客様に無駄な費用を使わせないことも、プラン作成の重要項目であることは言うまでも無いからです。また、むやみに高い土留めを作ることは、経費面だけではなく、危険性のアップにも繋がります。
中程度の段差の「カースペース」の場合い、前述の土留めの選択も逆に難しくなります。大きな段差の場合はコンクリート擁壁か型枠ブロックと、ほぼ相場が決まってしまいますが、中程度の段差の場合は多数の選択肢が出てくるからです。ただ、安全を考慮しこの部分には多少経費がかかっても、余裕のある強度の土留めを選択してください。
特にスタンダードコンクリートブロックを使った土留めの場合は、高さ1m以下を心がけてください。値段を下げようと、ついスタンダードコンクリートブロックを勧めるショップ・業者も多いのですが、長期使用を考えると極めて危険です。また、階段の役割も極めて重要になります。登り降りが安全で楽+デザイン性が要求されるからです。
次項では、より段差の大きな「カースペース」について検証します。ただ、処理が意外に簡単であるという事実も・・・
中程度の高低差のある敷地のフロントガーデン計画。駐車スペース側には深基礎を計画し庭部分を土留で仕切る設計。ある程度建築設計前の検討が必要になります。