身近な樹木を紹介中。この項ではイチョウを取り上げます。植物にあまり興味のない方は、絶えず目にする樹木でも、名前は意外と知らないもの。そんな中にあって、この木は何ですかと質問し、最も多く正解が返ってくるのが、サクラとイチョウではないでしょうか。でも、それ程お馴染みなのに、イチョウは超特異な樹木であることもご存知でしょうか。
イチョウ=植物界、裸子植物部門、イチョウ綱、イチョウ目、イチョウ科、イチョウ属、イチョウ(種)。これがその正当な分類です。つまり、イチョウとは、一般的な植物では、裸子植物と被子植物に分かれますが、以後の段階からは全く仲間が存在しない特異な樹木であるということです。裸子植物とは、種を作る植物の中で、その種子がむき出しになっているタイプの物。被子植物より早く登場し、イチョウ網の他には、ソテツ網、マツ網、グネツム網があります。さらに、網とは、種、属、科、目の上の、極めて大きなグループを示すものです。
従って、この分類を見るだけで、1:イチョウとは極めて特異な樹木である 2:仲間が全くいない 3:生きた化石ともいえる古い形態の樹木・・・と言うことが分かります。1:に関しては、広葉樹でありながら裸子植物と言う他に類を見ない存在であるため。2:に関しては、網と言う大項目の段階から唯一の存在であるため。3:に関しては、裸子植物自体が古い存在で、その中のイチョウ網で唯一の生き残りであるため。
イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)の学名は「Ginkgo(イチョウ属) biloba」で、この属名を「ぎんきょう」と発音。そして、イチョウになったと言われています。冒頭で記した通り、多くの人が知る樹木ですので、形状に関する説明は省略。原産地は中国ですが、年間の平均気温が0〜20℃のエリアなら育つといわれており、極めて順応性の高い植物でもあります。だからこそ、イチョウ網の中で唯一生き残り、現在では最も多く植栽されている樹木の1つとして、世界中で見られるようになったのでしょう。
また、便宜上「広葉樹」と表記しましたが、実はイチョウの葉は平行葉脈で、このような形態の場合は厳密には広葉樹(葉脈が網目状なので)ではないそうです。勿論、幅があるので針葉樹でもありません。さらに、写真説明でこれもまた便宜上「雄花」と表記しましたが、裸子植物の場合本当は花とは言わない(英語では「Flowaring plant」と表記)ようです。勿論、イチョウはなじみ深い樹木。ギンナンも美味しい。従って上記のようなことはどうでも良いかもしれませんが、これを機会に、ヤブニラミするのも面白いのでは・・・