ツツジ園芸種、ヒラドツツジ、クルメツツジに続いてはサツキを取り上げます。ただし、私達が目にするサツキはほぼ100%園芸種ですが、原種は存在します。この点がヒラド・クルメツツジとは異なります。
サツキとは、ツツジ科、ツツジ属、サツキ(種)と言う分類の常緑低木です。学名は「Rhododendron(ツツジ属) indicum」。つまりツツジ属の1つの種類と言うことになります。同時に、20年ほど前までは庭木用の低木として最も多用された樹木でもありました。ただし、私たちが原種のサツキを目にすることはまずありません。理由は、渓流の限られた場所にしか自生していないため。この点がミツバツツジ、ヤマツツジと異なる点でもあります。
サツキの特性をもう少し詳しく提示しておきます。①:分布地域は関東以西の本州・四国・九州〜沖縄と中国の一部 ②:渓流の近辺に主に自生 ③:この自生条件により背か高くならず1.5m程度 ③:常緑低木でツツジ属の中でも葉が小さく固い ④:花期は5月頃で他のツツジよりやや遅い ④:原種あるいは原種に近い樹木の花色は濃いピンクで小ぶり ⑤:ただし1,000種以上の園芸種がありそれらの花は多種多様・・・などを上げることができます。
上記のように、サツキは最も園芸種の多い樹木です。ただ、庭木の低木として使う場合は、比較的原種に近い「高砂」「大盃」などが主体であるため、原種の形状はそれとほぼ同じと考えてよいでしょう。
その一方で、鉢植え、盆栽用樹木としても人気が高く、こちらはまさに多種多様。特に花の色、形は様々で、八重、混色なども珍しくありません。最近は、ヨーロッパから輸入されたアザレアとの交配種も多数出回り、ますますバラエティーに富んだ存在となっています。このような状況を考えると、園芸種に関しては、サツキ、ツツジ、アザレアと分けること自体が無意味となりつつあるのかもしれません。
前述のように、サツキは低木庭木として最も多用されてきた樹木でした。その理由は、1600年代には既に園芸種が登場し日本人に最も親しみのある樹木の1つであった、育てやすく刈り込みにも強い、大量生産され安価であった、などによるもの。しかし、和風イメージが強い、水切れに弱く(ツツジ全般)過去の酷暑時に多数枯れたことがあった、などにより近年は使用頻度が大幅にダウンしています。特に、モダン系で雑木主体のガーデンではサツキを使うことが殆どありません。しかし、従来イメージを超えた改良種にもっと目を向け、新しい感覚でサツキを見直すことも必要でしょう。