エクステリアの基礎知識

住宅のガーデンには、「フロントガーデン」(メインの道路側のスペース)と「プライベートガーデン」(メインの道路に面していないスペース)があります。そして、欧米では「フロントガーデン」は半公共的空間、「プライベートガーデン」はその名の通り自分達の空間で、こちらがメインのお庭と言う考え方が主流です。

しかし、日本の場合は敷地が狭い住宅が多い、生活習慣の違いなどから、「プライベートガーデン」が主流と言う発想は希薄です。古く敷地の広い住宅では、メインの道路側に重厚な塀を作り、和風の事実上の「プライベートガーデン」が良く作られました。しかし、新しい住宅ではそのような構成も極めて稀となっています。残念な気もしますがそれが現状と言わざるを得ません。

ただ、新しい動きも出てきています。少し敷地に余裕がある場合は、「フロントガーデン」の一角をプライベートスペースとする、と言ったプランです。つまり、この項のテーマである「フロントガーデン」の中の「その他のガーデンスペース」(少し回りくどい表現ではあるが)に対する考え方が、欧米とは大きく異なると言うことです。屋外空間に対する投入予算も、欧米では「プライベートガーデン」の方が大きいのに、日本では「フロントガーデン」の方が大きいのはこのためです。

従って、「その他のガーデンスペース」のプランを作成する上で、最初に考えるべきポイントは、プライベート空間的要素が大きいかそうでないか、と言う点です。例えば、花壇や植栽スペースを作る場合でも、外部の人にも見てもらいたいという意識が強い場合は、オープン的なプランとなります。逆に、個人・家族でガーデニングを楽しむと言う意識が強い場合は、場所的には「フロントガーデン」であっても、クローズ化してプライベート保護を優先しなければなりません。

日本では、「フロントガーデン」にデッキ、テラス、ガーデンルーム、などを設置することも珍しくありません。このような場合も、殆どがプライベートスペースであり、クローズ化の工夫が必要になります。にもかかわらず、本体プランそのものに夢中になり、「目隠し」を忘れ、使い物にならないといったケースも良く有ります。

従って、「フロントガーデン」の中の「その他のガーデンスペース」に関しては、どのような使い方をするかが特に重要になります。ただし、「目隠し」が必要であっても、処理はそれほど簡単では有りません。優れたデザイン、優れた機能、ご予算、と言う課題をセットでクリアしなければならないからです。

「フロントガーデン」の一角をプライベートスペースとするプラン例

2022/09/24

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