エクステリアの基礎知識

今回取り上げるのはボックスウッド。またの名をセイヨウツゲと言います。では、この樹木はどのような使い方をすべきなのでしょうか? そのヒントはベルサイユ宮殿に・・・と言えば大げさでしょうか?

ボックスウッド(セイヨウツゲ)は、ツゲ科、ツゲ属、ボックスウッド(種)と言う名の常緑低木です。その名の示す通り、日本のツゲの親戚で、樹形・使い方共に多くの共通点を持っています。また、日本で普及したのは最近ですが、ヨーロッパでは古くから無くてはならない木材であり、ガーデン用樹木です。

ボックスウッドの自生地は地中海沿岸、北アフリカ、西アジアなどで、ヨーロッパ系の樹木であることは一目瞭然。学名は「Buxus(ツゲ属) sempervirens」。樹木の特性としては、低木だが樹高8m程度まで育つ、開花期は3~4月、乾燥に強い、ただし強い陽光で葉焼けすることもある、葉は楕円形で日本のツゲより少し大きめ、冬には紅葉することがある、刈り込みに強い・・・など。

ではボックスウッドはヨーロッパの人たちにどのように使われてきたのでしょうか。1つ目は、材木として。日本のツゲも木材としてはきめ細かく狂いが少ないため、工芸品用として珍重されてきました。最も有名なものとして櫛を上げることができます。ボックスウッドもよく似た性質を持ち、高級な箱材として使用されました。そうボックスウッドと言う奇妙な名前もここから来ています。

2つ目は、平面幾何学式庭園(フランス式庭園)を構成する重要な樹木として。同庭園は広大な平面空間に作られ、幾何学的な構成となっていました。そして、幾何学構成の一部としてパルテールと呼ばれる緑化スペースを作りました。その演出の主役として、刈り込みに強いボックスウッドが大量に使われました。そして、平面幾何学式庭園最大・最高の作品がベルサイユ宮殿です。

このような歴史、使用方法を知っていると、家庭のガーデンでもどのように使うべきか、もうお分かりいただけたと思います。そう、緻密で背の低い生垣、境界を明確に示すグリーンベルト、トピアリー、などが最適と言うことです。逆に成長はしますが、背の高い生垣等には時間がかかり不向きです。また、雑木中心のガーデンでは、一部に幾何学的構成を取り入れ、そこにボックスウッドを使うことをお勧めします。この点もまた、モダン和風ガーデンの中のツゲの使い方と似ているのかもしれません。

ボックスウッドのトピアリ

2022/09/30
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