エクステリアの基礎知識

ヤマボウシ亜属の樹木を紹介中です。そして、ハナミズキ、ヤマボウシに続いて、この項では常緑ヤマボウシを取り上げます。ただ、あまりにも不可解な樹木で、確実にいえることは熱帯・亜熱帯に自生するヤマボウシの仲間を近年輸入し販売している・・・それ以上の事は全て不明です。

従って、常緑ヤマボウシにも何系統かがありますが、分類学的に言えば、ミズキ科、ヤマボウシ亜属の常緑小高木、それ以上のことは不明です。つまり、ヤマボウシの変種であるのか、別種であるのか、人の手が加わった物なのか(交配種、園芸種)、確定することは困難です。ただし、ある程度系統的に分布、特性を追う事は可能なので、ここではあくまで類推と言うことを前提に、話を進めます。

常緑ヤマボウシは大きく2系統に分けられます。A:ホンコンエンシスの系統 B:ヒマラヤヤマボウシの系統。以上です。ただ、調べた範囲では学名は不明です。従って、この2つが学術的に認められた種であるのか、単なる地域的変化なのか、確定することは出来ません。しかし、両者にはある程度の相違があり、この点を確認しておきます。

ホンコンエンシス=中国南部~ホンコン~東南アジアが自生地と考えられる。常緑ヤマボウシの主流派で、一般的なホンコンエンシス、優系種ホンコンエンシス月光、中国産のホンコンエンシス・ガビサンの3種がこの系統のヤマボウシの販売主体となっている。ただし、各販売業者がこの3種に対して共通の定義を持っているか否かは不明。また、実際には園芸種等も混じり、かなりの混乱がある可能性が強い。

ヒマラヤヤマボウシ=中国西部~インド~ネパールあたりが自生地と考えられる。ホンコンエンシス系統より品種・流通量は少ないと考えられる。花がややクリーム色の物が多いようだが、明確な相異は不明。この系統のヤマボウシもまた流通段階でかなりの混乱がある可能性が強い。

ざっとこんな状況です。ただ、花・果実の様子は、ハナミズキより日本のヤマボウシに近く、極めて近い間柄であることは間違いありません。それだけに、別種とすること自体が誤りである可能性もあります。ただ、両系統とも中国が分布エリアの大きなウエイトを占めており、当初の輸入ルートも中国経由が主流であったのではないでしょうか。それがより混乱を助長した可能性も有ります。

ヤマボウシは魅力的な庭木です。そして、常緑樹を好む人も多くいます。つまり常緑ヤマボウシは多くの可能性を持っているということ。だからと言って、安易な商業主義はその可能性をつぶしてしまいます。販売者はもっと良心を持って、学術面も含めたもっとしっかりした資料を作成し、より信用性のある分類の元に普及を目指すべきでしょう。

常緑ヤマボウシ

2022/09/30
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