施工事例

モミの木のような樹形のコニファー”ドイツトウヒ”をクリスマスに飾り付けができるように。そんな独特の樹形を持った樹木の似合う白い自然石やタイルを採用した北欧風のオープン外構。
“陰影”を意識した素材選びで個性的な外構に仕上がりました。

イメージパース

計画開始時は、玄関ポーチの階段を前に延ばす計画でしたが、お打合せの中で「できる限り大きくて印象的な門柱を作る」という内容となり、ポーチ階段は横から入るように計画変更。階段幅を確保するとフロント部分が狭くなるので、来客用の車がもう1台ぎりぎり駐車可能な寸法で設定し、また道路キワに植栽スペースを作りガスメーターをその中にいれるような設計としています。
この植栽スペースは駐車の際、植栽が育てば駐車の際の目印になり、また見切りに使ったピンコロ石はタイヤが乗り上げても問題のない高さに設定しています。

大きな掃きだし窓前にはタイル張のテラス。
できる限り室内から段差なく外に出たいということで、高さを通常の建物基礎水切下ではなく、サッシ高に設定。
水切下からの壁面換気に支障のないように建物側にも下地のコンクリートブロックを積み上げ、空気の道を確保するように設計しました。
施工写真 
全景。

差色を入れたりで印象を変えるのではなく、石英岩、砂利、塗壁、建物外壁タイルとそれぞれの「白」で、全体にまとまりがあるけど、少しずつ違う、そんなイメージを目指しました。
アプローチ部分は白の石英岩の方形のもの。
独立型のテラス屋根で駐輪スペースを確保しています。
シンボルツリーは奥様の「クリスマスツリーを本物の木で演出したい」というご希望から、モミの木と樹形の似ているドイツトウヒを採用しました。
最近、シンボルツリーといえば株立ちの自然樹形のものを使うことが多いのですが、ドイツトウヒ、この外構にはとても映えます。
すこし育てるのに難易度の高い木ではありますが、個性的な印象のシンボルツリーとしてはオススメの木の1つです。
このように波状に加工されている白い石英岩。
自然と陰影が出るので、「白一色でのっぺり」した印象にはなっていません。

なお、実は床面に使用した石材とこの石材はメーカーは異なるのですが、同じ「白の石英岩」ということで素材感がうまく合いました。
今回、難航したのはポスト選び。
横に階段を作り玄関ポーチに入るため、荷物を持って入るとなるとそれなりの横幅がいるのですが、ここを広く取ってしまうと前の駐車スペースがどんどん狭くなります。

この門柱、郵便物をとる使い勝手を考えれば絶対にポストは前入れ後ろだし。
しかしこのタイプのポストは郵便物が入る部分が後ろにどんとはみ出てしまい邪魔ですし、横からの視線を考慮したとき不恰好です。

今回採用したのはLIXILのエクスポストフラット横型タイプ。門柱から後ろにはみ出ることのないポストです。
あと、ドイツトウヒのイルミネーション用のコンセントも設置。


庭部分に移ります。
立水栓はジラーレW。ホース接続と手洗い可能な二口タイプの立水栓。
同じ形状のポールを2本立て、個性的な水栓スペースに。
白にコダワリをもたれていた旦那様。

シンプルな白いタイルのテラスです。将来隣の敷地の専用通路になるであろう部分からの視線を意識して目隠しも設置。

さて冒頭で書かせて頂いたとおり、室内からできる限りフラットで外に出たいということで通常、建物基礎までの高さ設定で設計されるこのタイプのテラスですが、今回サッシの高さで設定しました。
最近の戸建住宅はほぼこの水切下から換気が取られているため、空気の通る道は確保する必要があります。
そこで、通常タイル等のテラスは建物の基礎、縦方向22面及び建物の向こう側にコンクリートブロックを積み中に土を埋め戻し、下地のコンクリートを打設してタイル等の仕上げを施すのですが、今回、建物側にもこのブロックを積み建物基礎とテラスの間に隙間を作り空気の通る道を確保しました。
施工写真 夜
夜の門柱周りです。
下から照らす照明は陰影が個性的な門柱に採用した石材の素材感をより際立たせます。

ですが、角度により、インターホン子機に映る人の顔が白飛びしたり、ポストやインターホンの少しの出幅が余計な影を出してしまったりと、なかなかいろいろ難しい。

実際に現場で角度調整をしながらよりよい角度と配置で照明を配置しました。
幻想的な陰影を作ります。


ということで、お客様、設計者、施工者がそれぞれ色々なコダワリを持って作った外構。
外観と駐車やインターホン等の利便性の折り合いをどこでつけるのかをかなり迷った現場でした。
CADや図面ではなかなかお互いが把握しづらい部分を現場でも模索した施工事例。

とても印象的な現場となりました。

コーディネーター/設計/CAD/現場管理   藤田
施工 有限会社アドバンス
 

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